おじいちゃんが未だ若い頃の話だけど、朝暗いうちに漁へ出かけると、途中で
何か細長い物がぷかぷか浮かんでたんだって。
何となく、人っぽい感じだったんで、板切れでも持たせてやろうかと思って、
船をそっちへ近づけたのね。
(今は違うけど、昔は水死体を見つけたら、戸板をその側へ入れてやって
「今は漁の行きがけだから拾ってやれん。帰りに居ったら拾ってやる」と
言い聞かせて行ったんだって。行きがけに水死体を見つけると大漁になる事が
多いから、それで水死体の事をエビス様って呼んだらしいの)
ところが、近づいて見るとそれは人じゃなくて、人のような形と大きさをした
褐色のクラゲだったから、(なあんだ)と思って行き過ぎようとしたら、いきなり
真ん中辺に白っぽい人の顔がすうっと浮かんで来て、そいつがおじいちゃんの顔を
見て、ニマッ…と笑い、そのまま海へ潜って行ったんだって。
恐くなったおじいちゃんは、船に積んであったお酒を、海にも船の上にも撒いて
一目散に港へ帰り、それから1週間漁に出かけなかったって。
褐色のクラゲ
更新日:
157: デビル ◆hO/jJrDVl. 2005/11/06(日) 12:15:46 ID:jexNcjp30
友達から聞いた話ね。