海にまつわる怖い話をまとめています。

海にまつわる怖い話まとめ(海怖まとめ)

part016

やまわら

更新日:

751: 本当にあった怖い名無し 2011/11/03(木) 18:40:03.91 ID:XNK0L8ee0
小学4年か、5年の夏休みだったと思う。
両親の仲がうまくいかなくなり、色々あって
半月あまり、父親の実家に預けられた。

祖父も祖母も優しくしてくれたので寂しくはなかった。
特に祖父は、釣りの好きなオレを気に入ってくれていた。
(どうもオレの父親は釣りが好きじゃなかったらしい)
今日は朝方○×の港、明日は夕方△□の磯、そんな感じで
色々な釣り場で釣りの秘訣を教えてくれた。

「アキ(←オレ)はなかなか筋が良いわ、
タケ(←父)は全然駄目だったがな...。」
そう言って笑う祖父の顔を見ると、オレも嬉しくなる。
自分でも色々工夫するし、自然に釣りが上手くなった。

904: 634 2011/11/17(木) 02:06:07.74 ID:9aVr8U990
祖母の実家に帰ったら師匠が遅い昼飯を食っていた。
ニヤニヤしながら「○○、釣れなかったのか?」と聞くので
オレがさっき見た事を話したら、急に真面目な顔になって
「...影ボラか、○○、こっちに来い」と言って
仏壇の前に座らされてお祓い(?)された。その間ずっと
師匠は何かブツブツ言っていたが内容は聞き取れなかった。

お祓いが終わり、「もう釣りしたら駄目なの?」と聞いたら
「大丈夫さ、でも今日みたいに影ボラ見た時は釣りは止めろ」
「もし間違って影ボラを釣ってしまったら海に引き込まれるからな」
師匠はそう言ってニコニコ笑うと、オレの頭を撫でてくれた。

それ以来、一度も「影ボラ」を見たことはない。
まあ、都会の濁った海じゃ、もし「影ボラ」が出ても
見えないかもしれないけどね。

>>751
「やまわら」の話、興味深かった。
実はオレも全く同じような話を祖母から聞いた事がある。
もしかしたらオレと同じ島かも知れないな。

>>894
哀しいね。
オレの友達は大津波の後、某県でレスキューに入り
海に浮かぶ服の脱げた無数の子供や女性の遺体を見て
こんな写真をUPする奴が出るんじゃないかと心配したと話していたが。
日本人にしろ、外国人にしろ、そんな奴らは
みんな海に引きずり込まれて死んでしまえと思う。

752: 751 2011/11/03(木) 18:43:33.96 ID:XNK0L8ee0
そんなある日、祖父と一緒に夜釣りに出かけた。
何度か連れて行ってもらった場所だから勝手は知ってる。
さっさと支度して仕掛けを投げこみ、クーラーボックスに
2人並んで座り、祖母が作ってくれたおにぎりを食べていた。
満月から少し欠けた月が明るくて、風が涼しい。

「明る過ぎる、今夜は難しいかなぁ。」と祖父は言ったが
ひっきりなしにアタリがあって、大きなアナゴ、チヌ、
それから、外道ででかいノコギリガザミ。
2個目のおにぎりを食えないほど、忙しい釣りになった。

しかし、9時を過ぎた頃、急にアタリが止まった。
それに何となく変なニオイがして、気分が悪い。
「じいじ、何か変なニオイがしない?」と聞くと、
祖父は「アキ、これから俺が良いと言うまで絶対喋るなよ。
それと、誰に何て言われても絶対振り向くなよ。」という。
そして、小さい声で念を押す。「良いか、絶対だぞ。」
俺が小さくうなずくと、背後から足音が聞こえてきた。

754: 751 2011/11/03(木) 19:03:14.20 ID:XNK0L8ee0
それはどうやら草むらをかき分けて近づいてくる。
足音が近づいてくるにつれ、嫌なニオイが強くなった。
「よう、良く釣れてるな。」嗄れた声が響いた。
風邪をひいた子供のような、変な声。
「わしと組んだらもっともっと釣れるぞ、どうだ?」
祖父は声が聞こえていないように、黙って海を見ている。
とても怖かったが、オレも黙って海を見ていた。

「あれ、こいつは何だ?」声がオレの背後から聞こえた。
ブタが鼻を鳴らすような音がして、気配が更に近づく。
ニオイがすごくて吐きそうだが、両手を握り何とか耐える。
「まだ小さいが、良い手じゃのぉ。なぁ、わしと組まんか?」
声はもう、オレの右耳のすぐ後から聞こえてくる。
今にも肩に手をかけられるような気がして体が硬くなる。

755: 751 2011/11/03(木) 19:05:16.29 ID:XNK0L8ee0
怖くて怖くて泣きそうだったが、必死で黙っていたら、
祖父が釣り具箱の中から煙草を取り出し、火を点けた。
そして大げさに、ふーっ、ふーっと煙を吐くと
その声が「ん~...げごご...ごっ!」と言ったきり、
背後の気配が急にパタリと消えてしまった。

祖父が「アキ、もう良いぞ。」と言うので
恐る恐る振り向いたが、何もいない。ニオイも全然しない。
「あれはな、やまあら(やまわら?)だ。」
「あれの姿を見ると魅入られる。あれと一緒に行くと
魚は沢山釣れるそうだが、一度魅入られると逃げられない。
毎晩毎晩、それこそ死ぬまで釣りに連れ出されるそうだ。」
「妖怪とか精霊みたいなもの?」と聞くと、
「まぁ、そんなもんだ。魔除けに持ってて良かったが、
煙草なんぞ吸ったから気分が悪い。もう帰ろう。」と言う。

756: 751 2011/11/03(木) 19:08:57.94 ID:XNK0L8ee0
海岸線に停めた軽トラに向かって細い道を歩いていると
祖父は「前にあの声を聞いたのはいつだったかな...」
「タケが中学生...もう30年も前になるか。」と呟いた。
そして「まだあんなものがこの世にいるとは思わなかった。
アキは運が良かっ...いや、あれ、怖かったか?」と言う。
「うん、怖かった。とっても怖かった。」とオレが答えると、
祖父は「じゃ、もう釣りは嫌か?」と心配そうに聞く。
今思うと不思議だが、怖くて釣りを止めようとは思わなかったから、
「嫌じゃないよ。あんなの滅多に出ないでしょ?」と答えると、
祖父は「そうか、アキは強いな。」と笑ってオレの頭を撫でた。

「でもな、釣りにしろ何にしろ、海は怖い所だ。」
「それを忘れると、海で命を落とすことになるんだぞ。」

そう言った時、月に照らされていた祖父の真面目な横顔。
今でも1人で夜釣りをしていると時々思い出すよ。
祖父が肝臓癌で亡くなったのは、もう8年も前のことだが。

出典:http://toki.2ch.net/test/read.cgi/occult/1312078296/

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