新聞報道によると、遠州灘の水難事故者がワースト3にはいるらしい。
今年もすでに犠牲者がでている。
遠州灘の渚には魔物がすんでいる。
渚線で遊んでいると、与太波がきて足を浚い、沖へ沖へと引き込んでいく。
この時期、南方海上で発生した台風は、次第に発達しながら沖縄方面へ接岸してくる。
強い高気圧が日本列島にあると、しばらく迷走する。
東シナ海から大陸への上陸もあるが、多くの場合は列島を西から東へ縦断していく。
これは、上空にある偏西風に乗るからだ。
偏西風の位置が大陸側に後退していると、沖縄近海でうろうろとしていたりする。
この台風発生から接近までの間、海上はうねりを発する。
遙か遠くの南海上に発生した台風の卵からうねりを送ってくる。
これが、いわゆる土用波。
土用波は、波長のピッチが大きくパワーがあるので、水難事故が起きやすい。
波のパワーはピッチ(波頭~波頭)分、下へも働いている。
つまり、波長が5mであった場合、海面から5mまでは波のパワーが及んでいる。
で、5mより浅いところへくると、その分だけ上に盛り上がる。
10分間に1度、30分間に1度くらい、予想を超えた大波がくるという法則がある。
これが、いわゆるヨタ波。
股すれすれまでたち込んでいたとすれば、いとも簡単に浚われる。
遠州灘は、全域が遊泳禁止。
遠浅のために、波打ち際から払う「離岸流」が大変に強いからだ。
沖から寄せてきた波は、波打ち際で盛りあがって砕ける。
が、このパワーはそのまま消えてしまうわけではない。横に払ってから沖へ流れる。
遠州灘では、これをウド(払い出し)といって、地元でも恐れる。
この流れにもっていかれたら、人間は逆らっては泳げない。パニックになったら...
沖瀬といって、70mから100mに段差がある。投げ釣りをする人はよく知っている。
払い出しは、魚の通り道ではあるけれど、仕掛けが流されて落ち着かない。
もしも、波打ち際で遊んでいて浚われたら、逆らわずに流されてしまう。
沖瀬までいけば、流れは止まる。そこから横に泳いで瀬にあがる。
だから、よそから遊びに来た人の事故が圧倒的に多い。
遊泳禁止の看板はダテじゃない。ナメてかかったら命がいくつあっても足りない。
遠州灘では、絶対に泳がない。
これが鉄則。