小さいながらも、ボートをF県のW湾のマリーナに置いてある
去年の10月から11月くらいに直径1m以上もあろうかと言う
巨大クラゲが大量発生して、轢いても仕方ないと思うくらいの数が浮いていた
後ろめたい気持ちではあるが、クラゲを巻き込むようにしか操舵できない
「それが当然のような気になるくらい」に、巨大なクラゲが大量にいる
海に半透明ではあるが白い物を轢きながら・・
それは気持ち良い物じゃないのは確かだった
今年もシーズンを迎え、先週乗りに行ったんだ
そう、去年と同じように「仕方がない」と言う気持ちのまま
簡単な整備も終わり、船を下ろしクルージングに出かけた
船の上で昼食を取っていると、船底から「コツン!」と突き上げる音がした
足に伝わる小さな振動と供に・・一回・・二回・・
?
魚探では水深8m、釣のシーズンではキスやカレイの釣れる場所だ
乗船していた女房も不思議がる、勿論俺も気になる
「はっはっは・・ここはイルカも来るらしいから・・」とは俺の強がり
イルカがいるような気配も姿も見かけてはいない
漁師の姿もチラホラしか見えない湾内に内心穏かでなくなてきたのも確かな事
次第に気持ち悪くなりその場を離れ、そのままマリーナに引き返えそうとした
うねり出した海は多少荒くはなっていたが、日本海では大した事はない
湾の真ん中ほどに来た時、エンジンの音が変な事に気が付いたが
マリーナまでは、何事もなくたどり着く事ができた
船を陸揚げしてもらう時に、ふと目をプロペラにやると
白い小さな布切れが絡まっていた
その時は、何時もの漁師のロープだろうと気にしないでいたが・・
洗浄しようとプロペラに絡まった白い布切れを外して広げて見た
それは、紛れもない女性の下着であった
遠く半島から流れてくるような得体の知れない物
プロペラに絡まって一番怖いのが、漁師の捨てたロープだが
中には生活ゴミを捨てる人もいるようだし
大雨の後などは、何処から紛れ込んだのか動物の死体・・
だから、女性の下着と言ってもそれほどに慌てた事はなかった
もしかしたら、船上でのHの残骸かも知れないとも思える
気持ちが悪かったのは、下着よりも昼食時の船底をコヅク音だった
音で思い出したのだが・・
ボートを買って間もなく、嬉しくて夜の海にも出かけた
何かしらの魚が食いついてくる可能性も夜の方が高い事もあって
土曜の深夜にマリーナを出港する事もあった
湾内で風の当たらない島影にアンカーを降ろし釣を始めた
何時もなら、小魚でも入れ食いを体験できるのに
その日に限っては、あたりすらもない・・
船首の方で竿を出している時に、突然船尾のステップラダーが音を立て海に下りた
二段の折りたたみ式で、折り曲げた所を蝶ねじで固定をしてある
はずだが・・
背中から驚かされた気持ちで、一瞬ドッキ!とはしたが
「まさか・・」と言う気持ちの方が強いし、その手の者?を見た事もないので
元通りにして、釣りを始めた
すると・・・しばらくすると、同じようにラダーが落ちる音がした
流石に女房が怖がったので、暗闇の中をマリーナ目指したが
いったい何が起こったのか、今でも不思議でならない
その後で映画リングをテレビ放送を見てしまった・・
関連付けて考えた女房は、二度と夜釣りには行こうとはしない