三宅島、まだ噴火していない頃に友人の田舎だったので夏休みを利用して行きました。
友人の親戚は食堂・雑貨店・旅館を経営していて、結局わたしもそこで夏の稼ぎ時、しっかりと手伝いをさせられてしまったのだけど、まァ、仕方ないと小間使い状態。
(それはそう。だって休憩もなし、朝は6時から、夜は8時まで!だったから、親戚のオヤジが鬼に見えたっけ。友人はなぜか遊びに行ってるしで、最悪でした)
ぐったり疲れて、いつのまにか夕飯時に帰ってきた友人とやっと話していたら、宿泊予定の部屋がお客さんを泊めるから、そばの家で泊まってくれ、ってオヤジが言いにきたのね。
その時、友人が顔を青くして
「絶対いや!」って。
「なんで?いいじゃん。隣の新築の家でしょ?きれいだし」
「あそこはダメなの。いやだから、叔父さんも泊まってよ」
食い下がる彼女にオヤジは困って
「お客さんがいるからできないんだよ。それに
おまえが泊まってあげればアイツも喜ぶと思うよ」
アイツって人がいるから、今夜は三人か、じゃあ、それの方が楽だと
「平気です。そこで泊まります」
って、元気に答えたんだよね。オヤジその時は本当に嬉しそうに笑ってましたよ。
「ありがとう。これでアイツも寂しくないな。ほんとうにありがとな」
友人は本当は気が強い、どちらかというとわがままな子。いつもなら、さっさと
自分のやりたい事をやって、わたしなどは置いてけぼりが多いのに、この日は違った。
「ね、ここおかしくない?何か感じない?」
「ここ暗くない?ね、一緒にずっといて」
もう、ストーカー状態で、とうとうお風呂も一緒。洗顔もトイレもつきまとうの。これは一体?って思っていたら、一階の玄関を開けた時に感じた線香の匂いがぷんとキツイ2階に行って、驚いちゃったんだよね。
奥の部屋に仏壇、それもお寺とかにある大きなのがあって、そこから線香が匂っていたみたい。しかも、その仏壇の位牌、、20歳くらいの若い女の人の遺影と、骨箱が当たり前、って感じでおいてあったから、腰が抜けそうになりました。
「その話はここじゃしちゃダメ!」
仕事が終わったオバサンがやってきて、布団をその仏間の真横の部屋に敷いていこうとするのでふたりで悲鳴。
「そこはやめてください」「そこはイヤ」
「何をいってるの。あんなに可愛がってもらったんだから我慢しなさい」
(何を言ってるの?わたしはその人知りませんから~、って心の中でリフしてみたけど無駄でした)
結局、ええ、そうですよ。
みなさんがご想像のとおりかどうかは別として、眠るに眠れないのに、深夜になってから
「南無阿弥陀仏~南無阿弥陀仏~」ってささやく読経。
「○○ちゃ~ん」って、襖が15センチ開いて白い手。
布団の上には何もいないはずなのに、何かがどっしりと乗っていくわ。
夜明けまで、実はわたしはひとりでうろおぼえの祖母がよくいっていたお経をひたすら読み続けていましたから。
ところが、友人は横でなぜかぐっすり眠っている始末。
朝方になって、散歩しながら聞いたらば、その20歳くらいの女性はいとこで
結婚を約束した人に捨てられてしまい、この三宅島の北側で自殺したそうです。
先に話してよッって。
友人はそれから1年後、自殺未遂しました。交際してた彼に浮気されて捨てられて。鬱病の治療を今もしていますが、独身です。